20代でも急増中?「舌がん」のリスクと「歯並び」の意外な関係【矯正医が解説】
先日、Yahoo!ニュースで「20年で2倍 増える若年層の『舌がん』」という記事が話題になりました。「がんは高齢者の病気」というイメージがありますが、実は若い世代でも増えているのです。
記事の中で原因の一つとして挙げられていたのが「現代人特有の狭い歯並び」。今回はこのニュースを、矯正歯科医の視点から深掘りして解説します。
なぜ「歯並び」が「舌がん」の原因になるのか?
舌がんの大きなリスク要因の一つに「慢性的な機械的刺激」があります。簡単に言うと、舌の同じ場所が常にこすれたり、傷つけられたりしている状態です。
現代人は柔らかい食事を好むようになった影響で、昔の人に比べて顎が小さく、歯並びのアーチが狭くなっている(狭窄歯列)傾向にあります。
舌は常に窮屈で、歯の内側に押し付けられることになります。
特に、ガタガタした歯並びや、内側に傾いている歯があると、舌の側面が常にその尖った部分に擦れ、傷つき続けてしまいます。
この「終わりのない刺激」が細胞の修復エラーを引き起こし、がん化につながるリスクがあると考えられているのです。
矯正医が教える「危険なサイン」セルフチェック
今、鏡でご自身の「舌」を見てみてください。
もしついている場合、それはあなたの舌が日常的に歯に押し付けられている証拠(舌圧痕:ぜつあっこん)です。
もちろん、これがあるからすぐに病気になるわけではありませんが、お口の中が「窮屈」であるサインです。
また、以下のような状態も要注意です。
- 内側に向いて生えている歯がある
- 欠けたり尖ったりしている詰め物がある
- 特定の場所にいつも口内炎ができる
矯正治療は「がん予防」にもなる?
私たち矯正医が行う治療は、単に見た目を良くするだけではありません。
狭くなった歯並びのアーチを適正な広さに拡大し、歯をきれいに並べることは、専門的に言うと「舌房(ぜつぼう:舌が収まるスペース)」を確保することでもあります。
歯並びを整えることで、舌への不要な刺激をなくすことは、将来的なお口の病気のリスクを下げるという意味で、非常に価値のある「予防医療」だと言えます。
「ただの口内炎」と「舌がん」の見分け方
記事でも触れられていましたが、一番怖いのは「ただの口内炎」だと思って放置してしまうことです。
- 一般的な口内炎:通常10日〜2週間程度で治ります。触ると痛いことが多いです。
こうした症状がある場合は、迷わず口腔外科や歯科医院を受診してください。
まとめ
「歯並びが悪い=見た目が悪い」だけではありません。「歯並びが悪い=舌を傷つけ続ける凶器になるかもしれない」という視点を持つことが大切です。
もし、舌の側面にいつも歯が当たって痛い、舌に歯型がついているという方は、一度矯正相談にいらしてください。
歯並びを広げて、舌にとって快適な環境を作ることが、あなたのお口の健康を守る第一歩になるかもしれません。

