部分矯正では治せないケースとは?後悔しないための適応・不適応チェック
「気になる前歯だけ、サッと動かしたい」「全体矯正は高いから、部分矯正で何とかならない?」
こうしたご希望は非常に多いですが、本来は全体矯正が必要なケースなのに無理に部分矯正を行うと、「後悔」につながることがあります。
この記事では、大阪つつい歯科・矯正歯科が考える「適応の見極め方」について解説します。
そもそも「部分矯正」とは?全体矯正との違い
部分矯正で対応できる典型例
部分矯正は、基本的に「奥歯のかみ合わせは変えずに、前歯などの限局した場所だけを整える」治療です。
- 前歯数本だけの軽いねじれ・すき間(すきっ歯)
- 1本だけ少し飛び出している歯
- 過去に矯正していて、少し後戻りした箇所
全体を動かすわけではないため、負担が少ないのが特徴です。
- 期間:数ヶ月〜1年程度
- 費用:全体矯正の半分以下になることも多い
部分矯正では治せない(やるべきではない)代表的なケース
以下の特徴がある場合、部分矯正だけでは改善が難しい、あるいはリスクが高い可能性があります。
1. 骨格的な出っ歯・受け口(上下顎の問題)
横顔で見て、顎の骨自体が大きく前に出ている、あるいは引っ込んでいるケースです。
2. 奥歯のかみ合わせに大きなズレがある
「奥歯で噛んだ時の左右バランスが違う」「噛み合わせが深すぎる(下の前歯が見えない)」などのケースです。
3. ガミースマイルや「口ゴボ」が主訴
笑ったときに歯ぐきが見えすぎる、口元全体がもっこりしている、といったお悩みです。
4. 歯周病や歯肉退縮リスクが高い
歯周ポケットが深い、歯ぐきが下がって根が見えている、歯に動揺(グラつき)がある場合です。
ムリな部分矯正が招くトラブル
「安く済ませたいから」といって適応ではないのに部分矯正を強行すると、以下のようなトラブルが起こり得ます。
| 噛み合わせの崩壊 | 前歯の見た目は揃っても、奥歯が浮いて噛めなくなったり、顎関節症を引き起こしたりすることがあります。 |
|---|---|
| 歯肉退縮・知覚過敏 | 骨の許容範囲を超えて歯を動かすことで、歯ぐきが下がり、冷たいものがしみるようになります。 |
| 再治療のコスト増 | 結果に満足できず、結局あとから全体矯正が必要になることも。最初から全体矯正をするよりも、時間も費用も倍近くかかってしまいます。 |
当院での「部分で済むのか、全体が必要か」の診断
精密検査(レントゲン・セファロ・模型・写真)
「パッと見た目」だけで判断することはありません。顔貌写真、パノラマ・セファロレントゲン、3Dスキャンなどを元に、骨格や歯根の状態を科学的に分析し、「部分矯正で安全に治せる範囲」を見極めます。
患者さんの「本当のゴール」をすり合わせる
カウンセリングでは、「ガタつきが治ればいいのか」「横顔まで美しくしたいのか」「一生噛める歯にしたいのか」といったゴールを共有します。
複数プラン提示(部分案と全体案)
迷われるケースでは、メリット・デメリットを隠さず複数のプラン(部分矯正プラン/全体矯正プラン)をご提示し、ご納得いただいた上で選んでいただくことを大切にしています。
「部分矯正でいけますか?」と聞きたくなったら
自己診断の落とし穴にご注意ください
SNSなどの情報だけで「自分はこの程度だから部分矯正でいけるはず」と判断するのは危険です。骨格のズレや歯ぐきの中の状態は、精密検査をして初めて見えてくるものです。
お悩みやご希望を丁寧にヒアリングします。
口腔内の確認とおおよその見立てを行います。
正確な診断が必要な場合、検査へ進みます。
他院で部分矯正を勧められて不安な方へ
「他院ですぐに『部分矯正でやりますよ』と言われたが、本当に大丈夫か不安」というご相談も増えています。当院ではセカンドオピニオンも受け付けています。診断結果や見積もりをお持ちいただければ、当院の視点での見解(リスクや可能性)をお話しすることも可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「前歯だけ」でも噛み合わせは悪くなりませんか?
適応が合っている場合は問題ありませんが、奥歯の噛み合わせにズレがある方は、前歯だけ整えることで全体のバランスが崩れることがあります。そのため、必ず奥歯の状態も検査してから判断します。
Q. 部分矯正はどれくらいの期間で終わりますか?
症例によりますが、数ヶ月〜1年程度が目安です。歯を動かす量やスペースの有無によって変わりますので、初診時に目安をお伝えします。
Q. 他院で「部分矯正でOK」と言われました。不安でも相談できますか?
可能です。セカンドオピニオンとして、現状とゴールを整理し、部分で済むのか・全体が必要かを一緒に検討しましょう。

