「オールオン4にしたら、見た目はどこまで自然になるの?」「総入れ歯と比べて、本当にしっかり噛めるの?」―― そんな不安を感じている方に向けて、見た目・噛み心地・発音の観点から、オールオン4と総入れ歯・従来型インプラントの違いをわかりやすく解説します。
結論から言うと、適切な診断と設計のもとで行うオールオン4は、「固定式の自分の歯にかなり近い感覚」を目指せる治療方法です。 一方で、外科手術やメンテナンスなど、慎重に考えるべき点もあります。本記事では、メリット・デメリットを正直にお伝えしたうえで、 ご自身に合った選択のための判断材料を提供します。
オールオン4とは?どんな人に向いている治療か
オールオン4とは、あごの骨に4本のインプラントを埋入し、その上に片あご分の歯を一体型のブリッジとして固定する治療コンセプトです。 多くの場合、抜歯と同時にインプラントを埋入し、条件が整えば早期に仮歯を固定して噛めるようにしていきます。
[出典: Maló P et al., Clin Implant Dent Relat Res / 2019, Uesugi T et al., Clin Implant Dent Relat Res / 2023]
次のような方に検討されることが多い治療です。
- 総入れ歯が合わず、「ズレる」「痛い」「噛めない」とお困りの方
- 重度の虫歯・歯周病で、ほとんどの歯の保存が難しい方
- 将来的に総入れ歯になる可能性が高く、入れ歯以外の選択肢を考えたい方
- 見た目や表情、若々しさをしっかり取り戻したい方
総入れ歯との違い
総入れ歯は粘膜(歯ぐき)に乗せて吸着させる「取り外し式」の装置です。一方、オールオン4はインプラントで固定する「固定式」のブリッジです。
- 安定性:総入れ歯は骨が痩せてくると外れやすくなり、ズレやすさ・痛みにつながることがあります。オールオン4はインプラントで固定するため、ズレが少なく噛む力を伝えやすい構造です。
- 噛む力:インプラント支持のフルアーチは、総入れ歯と比較して咀嚼効率が高く、細かく噛み砕きやすいことが報告されています。
- 見た目:総入れ歯でも自然な見た目を目指せますが、オールオン4では歯の位置・角度・唇の支え方などを骨格と一体で設計しやすい点が特徴です。
[出典: Fontijn-Tekamp FA et al., J Dent Res / 2000, Mahanna F et al., Mansoura J Dent / 2024]
従来型インプラントとの違い(本数・費用・期間)
従来、全ての歯をインプラントで補う場合は、1本ずつ、もしくは6〜8本以上のインプラントを埋入してブリッジを支える方法が一般的でした。 この場合、骨造成(骨を増やす手術)や治療期間の長期化、費用増加につながることがあります。
- 本数:オールオン4は原則4本(ケースにより5〜6本)で片あごを支える設計コンセプトです。
- 骨造成の回避:奥歯部にインプラントを傾斜埋入することで、サイナスリフトなどの骨造成を回避できる可能性があります。
- 期間・費用:必要なインプラント本数や手術回数が減ることで、従来の多数本インプラントより治療期間・総費用を圧縮しやすいとされています。
[出典: Ho CCK et al., Compend Contin Educ Dent / 2014, Maló P et al., Clin Implant Dent Relat Res / 2019]
見た目(審美性)の違い
歯の形・色・並びのデザイン
オールオン4の大きな特徴は、「歯の列全体を一体でデザインできる」点です。単独のクラウン治療と違い、 前歯の見え方・奥歯の噛み合わせ・笑ったときの歯の見え方までトータルで設計できます。
- 歯の形:丸みのある優しい印象、シャープで知的な印象など、顔立ちや性格に合わせたデザインが可能です。
- 歯の色:白すぎる色だけでなく、透明感やグラデーションを持たせた自然な色調も再現できます。
- 並び:正中(前歯の真ん中)や歯列のカーブを、お顔の中心線や唇のラインと合わせて設計します。
大阪つつい歯科・矯正歯科では、お顔全体のバランスと噛み合わせを重視し、理事長 筒井 純也が口元だけでなく 横顔・笑顔の写真も含めて総合的に設計していきます。
歯ぐき部分(ピンクポーセレン等)の再現性
歯周病などで骨や歯ぐきが大きく失われている場合、天然の歯ぐきだけで理想的な見た目を作るのが難しいことがあります。 そのようなケースでは、ピンクポーセレン(人工歯肉)やレジン部分で、 失われた歯ぐきのボリュームやカーブを補い、自然な歯ぐきラインを再現していきます。
- 黒い三角(ブラックトライアングル)を目立ちにくくする
- 唇がしぼんだ印象を改善し、口元にハリを持たせる
- 歯ぐきの色味を、周囲の粘膜となじむように調整する
笑ったときの自然さ・若々しさ
審美性で重要なのは、「鏡の前での静止画」だけではありません。笑ったとき、話しているときにどう見えるかが本質です。
- 笑顔で上の前歯がどの程度見えるか(スマイルライン)
- ほうれい線や口角の位置、唇の厚みとのバランス
- 口を開けたときに歯ぐきが見えすぎないか(ガミースマイルのコントロール)
オールオン4では、仮歯の段階から「表情の中での見え方」を確認しながら細かく調整していくことで、 若々しく自然な口元を目指していきます。
噛み心地・発音の違い
入れ歯との「ズレにくさ」「安定感」の差
総入れ歯では、吸着と粘膜の上での摩擦が主な支えになります。そのため、 「話していると浮いてくる」「硬いものを噛むとズレる」といったストレスを感じる方も少なくありません。
一方、オールオン4はインプラントでしっかり固定されるため、 ズレにくく、噛んだ力をあごの骨に直接伝えやすい構造です。研究でも、インプラント支持のフルアーチは、 総入れ歯より咀嚼効率や安定性が高いことが報告されています。
[出典: Sharma AJ et al., J Indian Prosthodont Soc / 2017, Froimovici FO et al., Dent J / 2024]
固いもの・繊維質のものが噛めるかどうか
総入れ歯では、せんべい・フランスパン・お肉などの噛み切りにくい食品や、 ゴボウ・イカなどの繊維質の食品が苦手になりやすい傾向があります。
オールオン4は、インプラントを介して骨に力が伝わるため、 固いものや繊維質の食品にもチャレンジしやすくなるケースが多く、食事の幅が広がったと感じる患者さんが多いと報告されています。 ただし、インプラントといえども何でも無制限に噛んで良いわけではなく、 極端に硬いもの・粘着性の高いものは注意が必要です。
[出典: Piloto RL et al., Braz J Implantol Health Sci / 2024, Froimovici FO et al., Dent J / 2024]
発音・会話への影響
上あごの総入れ歯は、口蓋(上あごの天井部分)を大きく覆うため、 「サ行・タ行が話しにくい」「違和感が取れない」という声もあります。
オールオン4では、口蓋を大きく覆わない設計にできるため、 舌の動きが妨げられにくく、発音への影響を少なくしやすいのが利点です。 とはいえ、歯の位置や厚みが変わることで一時的に発音が変化することもあり、 多くの方は数日〜数週間の慣れの期間を経て安定していきます。
オールオン4のデメリット・注意点も正直に
オールオン4は多くのメリットがある一方で、「誰にとってもベストの治療」ではありません。 外科手術・メンテナンス・全てをインプラントに置き換える心理的・経済的負担などについて、事前に十分な説明と検討が必要です。
外科手術が必要であること
オールオン4は、インプラントを複数本埋入する外科手術を伴います。 持病(糖尿病・心疾患・骨粗鬆症など)や服用中のお薬によってはリスクが高まる場合があり、 内科主治医との連携や事前検査が欠かせません。
また、喫煙や重度の歯周病歴は、インプラント周囲炎のリスク要因とされています。
[出典: Uesugi T et al., Clin Implant Dent Relat Res / 2023]
清掃性・メンテナンスの難しさ
オールオン4は固定式であるため、「取り外しのわずらわしさ」がない一方で、 ご自宅でのケアと歯科医院での定期的なメンテナンスがとても重要です。
- インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)
- ブリッジの清掃不良による口臭・炎症
- スクリューの緩み・破損などの機械的トラブル
これらを防ぐために、専用フロス・スーパーフロス・歯間ブラシ・ウォーターフロスなどを組み合わせたセルフケアと、 定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。
全てをインプラントに置き換えることの重さ
オールオン4は、残っている歯を抜歯して全てをインプラント支持のブリッジに置き換えることが多い治療です。 そのため、
- 「本当に抜かないといけない歯なのか?」
- 「自分の歯を残しながらの治療と、どちらが良いのか?」
といった点は、慎重な診断とカウンセリングが必要です。 将来的な再治療やトラブル時の対応を含め、「一度きりの決断」とせず、 他の選択肢と比較しながら冷静に検討することが大切です。
大阪つつい歯科・矯正歯科でのオールオン4の進め方
CTによる骨量確認とシミュレーション
まずは歯科用CTであごの骨の量・質・神経や上顎洞との位置関係を詳細に確認します。 そのうえで、インプラントの本数・位置・角度をシミュレーションソフト上で計画し、 必要に応じてガイドサージェリー(手術用ガイド)を用いて安全性と精度の向上を図ります。
仮歯の期間・最終補綴までの流れ
条件が整えば、手術当日または早期に固定式の仮歯を装着し、見た目と噛み合わせを回復していきます。 仮歯の期間中に、
- 噛み心地
- 発音
- 笑ったときの見え方
などを確認しながら、最終的なブリッジ(最終補綴物)の形・色・ボリュームを詰めていきます。 最終形態に移行するまでの期間や回数は、骨の状態や全身状態によって個人差があります。
他の選択肢(総入れ歯・インプラント併用)との比較提示
大阪つつい歯科・矯正歯科では、オールオン4だけを前提に話を進めるのではなく、 次のような複数の選択肢を比較しながら検討していただきます。
- 精密な総入れ歯による治療
- 下あごのみインプラント(オーバーデンチャーや固定式)+上あごは総入れ歯
- まだ残せる歯を活かしながら、一部にインプラントを併用するプラン
それぞれのメリット・デメリット・費用・通院回数・全身への影響を整理し、 ご本人とご家族、必要に応じて主治医とも相談しながら、 「今だけでなく、10年・20年先まで見据えた選択」を一緒に考えていきます。
オールオン4や総入れ歯でお悩みの方へ
「自分のケースでオールオン4が向いているのか知りたい」「総入れ歯と何が違うのか詳しく聞きたい」という方は、 まずはカウンセリングでお口の状態とご希望をお聞かせください。
下記のオンライン予約フォームから、24時間いつでもご予約いただけます。

