こんにちは!歯学博士の黒坂です。
みなさん、歯みがきの後はうがいをしていますか?
「もちろんです!」
「しっかりブクブクうがいをしています!」
「汚れと歯磨き粉をしっかり落とすために何度もうがいをしています!」
そんな声が聞こえてきます。
歯みがきの後にうがいをする人がほとんどだと思いますが・・・待ってください!
実はうがいは、し過ぎないほうが良いのです。
なぜかというと・・・
虫歯予防のためには、フッ化物配合歯みがき粉を使って歯磨きをすることが推奨されています。フッ化物は高濃度だと人体に有害なため、歯科で使用しているものは低濃度で且つ虫歯予防に効果のある濃度になっています。歯科医院でもフッ素を最後に塗ったりしますが、長い時間お口の中に残っていたほうが効果を発揮します。歯科でフッ素塗布をした後は、30分ほどうがいや飲食を控えてもらうようにしています。
同様に、はみがきの後もうがいをしすぎないほうが歯磨剤に含まれているフッ素が残りやすくなります。歯磨き後のうがいの推奨は0~1回です。最低限で大丈夫です。歯磨き後のうがいの回数が多くなるほど、口腔内のフッ素残有量が減ります。
むし歯は、むし歯菌が糖を食べて酸を作り、これが歯の成分であるハイドロキシアパタイトを溶かすことによっておこります(脱灰)。
しかし、初期むし歯では、「再石灰化」と呼ばれる現象がおこります。これは脱灰したアパタイトが歯に戻る現象で、しかもアパタイトはフッ素によって再石灰化を起こしやすくなるのです。いったん歯に戻ったアパタイトは脱灰しにくいため、歯の表面が強いアパタイト(ハイドロキシアパタイト)に置き換わってむし歯に強くなります。つまり再石灰時にフッ化物がお口の中にあることが重要となります。これがむし歯予防にはフッ素入りの歯みがき剤(ペースト、粉など)が良いといわれるゆえんです。
どんな歯磨き粉がいいですか??
歯磨き粉を選ぶときには、「医薬部外品」かどうかを確かめてください。次にフッ化物が入っているかどうかを確かめてください。現在市販されている歯磨き粉はフッ素含有のものが多いです。
フッ素の濃度と量は、
6歳以上から大人 ・・・1450ppmを1.5~2cm(歯ブラシ毛の部分全体)
3~5歳 ・・・950ppmを5mm(グリーンピース程度)
歯が生えてから2歳まで・・・950ppmを1~2㎜(米粒程度)
を使ってください。詳しくは日本小児歯科学会の提言もご参照ください。
https://www.jspd.or.jp/recommendation/article19/
歯みがきの後に何回もうがいをすると歯みがき剤に含まれるフッ化物が流れて薄くなってしまうのです。歯磨き後に汚れを吐き出した後の仕上げのうがいは、ごく少量の水で1回だけにして、しばらく飲食しないことにより再石灰化効果が高まると言われています。
歯みがき後、飲食をしなければ2時間くらいかけてフッ化物は歯に吸収されます。寝ている間は、唾液の量も減少するので、フッ素が長く口腔内にとどまります。寝る前の歯みがきでこれをやると特に効果的です。
現在、国内で販売される歯磨き剤の多くは身体に安全な濃度ですので安心して使用できます。
まとめ
毎日の歯磨きの後、うがいの回数を少し気を付けることで、フッ素の口腔内残留量が変わってきます。もしうがいをしっかりしたいのであれば、うがいをした後、特に就寝前の歯ブラシ後にフッ化物洗口をすると、フッ素の効果がより期待できます。
当院でも、メンテナンス時にう蝕リスクの高い方にフッ素塗布をしています。何かご質問等ありましたら、お気軽にお尋ねください。