【間違いかも?】歯磨き後のうがいはNG?フッ素効果を最大化する正しい方法を歯科医師が解説
こんにちは!大阪つつい歯科・矯正歯科 歯科医師・歯学博士の黒坂です。
みなさん、歯磨きの後はうがいをしていますか?「もちろん!」「汚れを落とすために何度もしっかり」…そんな声が聞こえてきそうです。ですが、お待ちください!
その習慣、実は虫歯予防に欠かせない「フッ素」の効果を半減させているかもしれないのです。この記事では、あなたの歯を本気で守るための「歯磨き後の新常識」を、徹底解説します。
この記事でわかること
- なぜ歯磨き後の「しっかりうがい」がNGなのか
- 虫歯予防の鍵「フッ素」の本当の働き
- フッ素効果を最大化する歯磨き粉の選び方と使い方
- 今日からできる、正しい歯磨き後のケア方法
なぜ?歯磨き後の「しっかりうがい」がNGな理由
理由はとてもシンプルです。せっかく歯磨き粉に含まれる虫歯予防成分「フッ素」が、うがいで洗い流されてしまうからです。
歯科医院でフッ素を塗布した後に「30分はうがいや飲食を控えてください」とお伝えするのと同じで、フッ素は、お口の中に長く留まるほど効果を発揮します。毎日の歯磨きでも、この原則は変わりません。
そもそもフッ素とは?虫歯を防ぐ「歯の守護神」
では、なぜそれほどフッ素がお口の中に残ることが重要なのでしょうか?それは、フッ素が虫歯を防ぐために3つの重要な働きをしてくれるからです。
- ① 歯の鎧を硬くする(耐酸性向上)
歯の表面のエナメル質を、虫歯菌が出す「酸」に溶けにくい、より強い構造に変えてくれます。 - ② 初期虫歯を修復する(再石灰化の促進)
ごく初期の虫歯であれば、フッ素の力で歯の成分が元に戻る「再石灰化」を促し、修復してくれます。 - ③ 虫歯菌の働きを弱める
虫歯菌そのものの活動を抑制し、酸を作りにくくする効果もあります。
フッ素効果を最大化!歯磨き粉の選び方と使い方
フッ素の効果を最大限に引き出すには、適切な歯磨き粉を、適切な量で使うことが重要です。
STEP1: 「フッ素濃度」をチェックする
歯磨き粉を選ぶ際は、まずパッケージの成分表示を確認し、「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」などのフッ化物と、その濃度(ppm)をチェックしましょう。日本の基準では、大人向けの歯磨き粉は1500ppmを上限として配合されています。
STEP2: 年齢別の「正しい使用量」を知る
フッ素は高濃度だと人体に影響があるため、年齢に応じて推奨される使用量を守ることが大切です。
年齢 | 推奨フッ素濃度 | 歯磨き粉の量(目安) |
---|---|---|
6歳頃~大人 | 1000~1500ppm | 歯ブラシの毛先全体(約1.5~2cm) |
3~5歳 | 500~1000ppm | グリーンピース大(約5mm) |
6ヶ月~2歳 | 500~1000ppm | 米粒大(約1~2mm) |
【これが正解】今日からできる!歯磨き後の3つの新常識
- 歯磨き後のうがいは「ごく少量の水」で「1回だけ」
おちょこ1杯分(約15ml)程度の水を口に含み、5秒ほどブクブクとすすぐだけで十分です。これで気持ち悪さは取れ、フッ素はお口に残ります。 - ベストタイミングは「就寝前」
寝ている間は唾液の分泌が減るため、フッ素がお口の中に長くとどまり、効果を最大限に発揮します。就寝前の歯磨きは特に「うがい1回」を徹底しましょう。 - 歯磨き後、しばらくは飲食をしない
歯磨き後、飲食をしなければ2時間ほどかけてフッ素が歯に吸収されていきます。
どうしてもスッキリうがいしたい場合は?
「やっぱり何度もすすがないと気持ち悪い…」という方もいらっしゃるでしょう。その場合は、一度しっかりうがいをした後に、**フッ化物洗口液(フッ素うがい薬)**を追加で使うのがおすすめです。これにより、洗い流してしまったフッ素を再びお口の中に補給することができます。
まとめ:毎日の小さな習慣が、未来の歯を守ります
今回は、虫歯予防の鍵を握る「歯磨き後のうがい」の新常識について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 歯磨き後のうがいは、フッ素をお口に残すため「少量の水で1回」がベスト。
- 年齢に合ったフッ素濃度の歯磨き粉を、適切な量で使うことが大切。
- 特に就寝前の歯磨きでこの習慣を実践すると、虫歯予防効果が格段にアップします。
毎日の少しの意識改革が、あなたの歯の寿命を大きく左右します。ぜひ、今日から実践してみてください。
大阪つつい歯科・矯正歯科では、定期メンテナンス時に虫歯リスクの高い方へのフッ素塗布や、
ご家庭での最適なセルフケア方法のご提案も行っています。
何かご質問やご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にお尋ねください。